この曲は小品ながらとても美しく
お気に入りの作品です。
1821年、ベートーヴェン51歳の時の曲です。
57歳で亡くなっているので、晩年の曲と言えます。
このころはすでにほとんど耳が聞こえなかったようです。
それでもアタマの中には音楽がいつも存在していたのだとは思いますが
自分の書いた曲を聞くことができない、というのはとても切ないですね。
さてこの曲、生徒さんもかなり頑張っておられますがとにかく難しい。
旋律と伴奏、という形式ではなく複数の声部が存在するいわゆるポリフォニー。
それぞれの声部に気を配らないといけないというだけでも大変だと思います。
特に歌+伴奏形態にどっぷり浸かってきたとすると
ちょっとしたカルチャーショックです。
もう一つ難しいのはペダル。
気を抜くとすぐに濁る、切れる、のオンパレードになってしまいます。
さて、冒頭から左手でチェロのような旋律が続きます。
ここでどれだけいい響きを作れるか
これだけでもこだわり始めるともう終わりが見つかりません(-_-;)
でもここは演奏の印象を決める大事な部分でもあるので
気を抜かずにとことん突き詰めてほしいと思います。
ベートーヴェンの曲って
怒ってたり、悲しかったり、痛かったり、
でも時々えもいわれぬ喜びにあふれていたり。
苦悩し、内に内に向かっているものが
ふっと神に向かって話しかける子どものような
そんな純粋さを感じることも多いです。
とんでもない天才ですけど
なんか人間くさいですね。
生徒さんも気に入ってくれているようなので
彼女なりのヘベートーヴェンを弾ききって欲しいです♪